藤本タツキが描く短編「ルックバック」は、ただの1巻完結のマンガではありません。
ページをめくるたびに、文字ではなく絵が感情を語りかけてきます。
背中で語る、静かで力強い表現が印象的で、サクッと読めるのに深く心に残る一冊。
絵の隅々まで目を凝らして、何度も味わいたくなる、そんな不思議な魅力を体験してみませんか?
- サクッと深い内容を楽しみたい人
短編ながら、何度も読み返したくなる作品。時間がないけれども、濃厚な物語を味わいたい方にはピッタリです。 - 絵を楽しみたい人
文字よりも絵で語られるマンガが好きな人や、感情や状況を視覚的に表現する作品を好む方におすすめです。 - 藤本タツキのファン
藤本タツキの「チェンソーマン」や「ファイアパンチ」が好きな人には見逃せない一冊。
- 京アニ事件などでトラウマを抱えている人
事件に関連する描写があるため、そのようなシーンに敏感な方にはおすすめしません。 - 明るい作品を求めている人
全体的にシリアスで切ない雰囲気が漂う作品なので、明るいテーマや軽い読後感を期待している方には合わないかもしれません。
マンガ趣味歴25年以上、購読数5000冊以上の私があなたに合うマンガをご紹介します。
極力ネタバレなしで内容をレビューします。
あなたに合うマンガかどうか確認してみてください。
基本情報:作者、全巻数、あらすじ
基本情報
ジャンル | ヒューマンドラマ、漫画家 |
---|---|
原作・作画 | 藤本タツキ |
掲載誌 | 少年ジャンプ+ |
発表期間 | 2021年 |
巻数 | 全1巻 |
あらすじ
自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。
月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。
唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。
小学4年生の藤野は学年新聞で4コマ漫画を毎週連載し、同級生や家族から絶賛されていた。
ある日、教師から京本の漫画を掲載したいため、藤野の連載している内の1枠を譲って欲しいと告げられる。
藤野は不登校児である京本を見下していたが、京本の画力は高く、掲載された京本の漫画は周囲の児童からも称賛され、比べて藤野の絵は普通だと掌を返すような反応をされる。藤野は屈辱を覚えながら絵の本格的な練習を開始し、、、
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 「ルックバック」
レビュー:おもしろい点、つまらない点
おもしろい、魅力など好評3選
〇 藤本タツキの短編ならではの深い物語
「ファイアパンチ」や「チェンソーマン」で知られる藤本タツキが手掛ける短編「ルックバック」は、1巻で終わるシンプルな形態にもかかわらず、何度も読み返したくなるほどの深みがあります。
サクッと読めるのに、内容は非常に重厚で、1回の読了で終わらず、読み返すたびに新たな発見がある作品です。
短編ながらも藤本の独特な感性がしっかりと感じられるため、気軽に手に取ってほしい作品です。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
〇 絵で語りかける圧倒的な表現力
「ルックバック」のもう一つの魅力は、異様なほど文字が少ないこと。
マンガにしてもここまで文字が少ない作品は珍しく、その分、絵がすべてを語ります。
特に、タイトルにある「ルックバック」を象徴するように、登場人物の背中で語るシーンが多く描かれています。
例えば、主人公が机に向かい、ひたすらマンガを描いている後ろ姿が何度も登場しますが、その時々に異なる感情や心境が伝わってきます。
背中やシンプルな動作でこれほどまでに感情を伝える表現力は見事で、一見の価値があります。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
〇 藤本タツキのトレードマークともいえる感情描写
表情や仕草だけでなく、藤本タツキ特有のダークさと切なさが作品全体に漂っており、それが物語を一層魅力的にしています。
文字ではなく、絵そのもので感情の高まりや葛藤を描くため、余計な解説が一切なく、キャラクターの心情にダイレクトに共感できます。
特に、藤本ファンであれば、この特有の雰囲気や感情の浮き沈みが楽しめるでしょう。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
つまらない、難点など不評3選
× 京アニ事件を連想させるトラウマ要素
「ルックバック」は京アニの事件への鎮魂歌とも言われており、そのことを知っている人にとっては特に衝撃的なシーンが目に留まるでしょう。
藤本タツキが描く世界観や結末は美しくもあるものの、トラウマを抱えている人にとっては、そのシーンがフラッシュバックのきっかけになる可能性も。
物語の結末自体はハッピーエンドと捉えるかは人それぞれですが、暗く辛いシーンも含まれているので注意が必要です。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
× 分かりにくいストーリー展開
「ルックバック」は文字の少なさゆえに、ストーリーが分かりにくいと感じる人もいるかもしれません。
絵で多くを語る作品ですが、それが逆に認識しにくい場面もあります。
例えば、ニュースを見てスマホが鳴り、その後泣き出すというシーンがあるものの、初見ではその流れがピンとこないかもしれません。
ただ、物語を進めていくうちに「ああ、こういうことだったのか」と理解できるので、分からないところがあっても読み進めることをおすすめします。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
× 文字による補足が少なく、解釈が分かれる
この作品は読者に解釈を委ねる部分が多く、文字での説明や明確な描写が少ないため、人によってはつかみにくい場面も多々あります。
感情や状況が絵で語られるため、読み手が想像力を働かせる必要があり、そうした解釈の幅広さが好きな人には良いのですが、もっと直接的な描写を求める人には少々難しいと感じられるかもしれません。
引用:集英社 「ルックバック」 藤本タツキ
個人的な総評
個人的おすすめ度★★★★★
私の短編マンガの価値観を変えた作品です。
短編マンガでもこんなおもしろいマンガがあるのかと衝撃でした。
今まで私の短編マンガの認識は、
「人気だったら連載化されるよね、内容はいまいちなんでしょ?」
「売れてなかった頃に書いた粗削りのマンガでしょ?」
完全に偏見でした。
申し訳ございません。
アニメ映画化もされていて、映画は映画で躍動感があり、違った良さがあるそうです。
映画も見てみたいです。
良いところを書き始めたらキリがないですが、個人的に印象的なワンシーンがあります。
本棚の単行本が1巻、2巻、3巻・・・と増えていき、・・・10巻、11巻、11巻、11巻と並ぶ描写です。
「なんで11巻が複数あるの?」
「間違えて買った?」
一般の人には意味不明かと思います。
私も意味不明でした。
解説サイトで調べると、人気が出てマンガが重版されると、作者へ新しい版が送られてくる風習があるそうです。
なるほど、つまりは11巻が何度も重版された、人気が出た、という描写だそうです。
知らなくても読み進めれば人気が出たことは理解できるのですが、こんな細かい描写もあるので、好きな人にはたまらないのではないでしょうか。
「ルックバック」をきっかけに短編マンガをいくつか読みましたが、ちゃんと探して読めば短編でもおもしろい作品はたくさんありますね。
「カラオケ行こ!」「ギガントマキア」「金の国 水の国」などなど。
短編マンガを読んだことがない人には、特に読んで欲しい作品です。
きっと価値観変わりますよ。
まとめ:おすすめする人
「ルックバック」は、藤本タツキファンにはもちろん、マンガを愛するすべての人におすすめしたい作品です。
短編だからといって侮れない深い内容が詰まっており、文字ではなく絵で語りかけるスタイルが特徴的。
全1巻で完結し、サクッと読めますので、今すぐその独特な世界観に触れてみませんか?
- サクッと深い内容を楽しみたい人
- 絵を楽しみたい人
- 藤本タツキのファン
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