「藤子・F・不二雄の新たな一面が見える!」
ドラえもんでお馴染みの藤子・F・不二雄先生の短編集「SF・異色短編」では、彼の作品の中でも異彩を放つ、大人向けの深いテーマが展開されています。
未来を見据えた内容やダークなユーモア、そして哲学的な問いが詰まった作品群は、まさに読み応え抜群。
少し重たい内容もありますが、読後の余韻が心に響く、特別な作品です。
- 大人向けの深いテーマを好む人
哲学的なテーマや現代社会の問題を予見する作品が数多く含まれています。高齢化社会や人口爆発といった問題を先取りした内容は、人生や存在について考えさせられ、知的な刺激を求める人にぴったりです。 - SFやタイムトラベルに興味がある人
タイムマシンや未来を変える話など、SFファンにとって魅力的な内容の作品が多いです。 - 藤子・F・不二雄のファン
子供時代に「ドラえもん」などの作品に親しんだ大人たちは、この短編集を通じて彼の新たな側面を発見できます。懐かしさと新鮮さが同時に味わえる、特別な体験になるでしょう。
- 軽い気持ちで読める作品を求める人
哲学的な重いテーマが多いため、読み終わった後にスッキリしない作品が多いです。リラックスして楽しみたい方には向きません。 - 子供向けの作品を探している人
子供向けとは違い、テーマが難解で哲学的な内容が多いため、理解が難しい部分があるかもしれません。親しみやすい絵柄とのギャップも大きく、子供には少々難しい作品です。 - ハッピーエンドを好む人
悲劇的な結末や後味が悪い作品が多く含まれており、ハッピーエンドを期待する人には少し合わないかもしれません。
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基本情報:作者、全巻数、あらすじ
基本情報
ジャンル | SF |
---|---|
原作・作画 | 藤子・F・不二雄 |
掲載誌 | 小学館文庫 |
発表期間 | 1970年代 |
巻数 | 全4巻 |
あらすじ
代表して「自分会議」の短編を紹介。
あらすじ
1人暮らしを始めるために安いアパートの部屋を借りた主人公。(中略)
食事をしようにも所持金が80円しかないとぼやく主人公の前に突然現れたのは、9年2ヶ月後の自分であった。
彼は既に過去と現在の往復が可能なタイムマシンを発明していたのだ。
さらに、主人公は時価3億円の山林の相続人でもあることが明らかになり、その財産の上手な扱い方をアドバイスしに来たのだという。しかし山林の扱いを巡り、23年後の自分と33年後の自分までが現れ「自分会議」が巻き起こる。
とは言え、その時の「自分」が一番都合の良い方法を「自分だから」という言い分で押し付け合うばかりで議論は一向に進まない。紛糾する彼らがたどり着いた答えは、幼い頃の自分を連れてきて、会議に参加させることだった。
しかし、会議はさらに泥沼化してしまう。
そして幼い頃の自分は、未来の自分たちの醜い争いに絶望し、飛び降り自殺を図る。結果、未来の自分の全員が消滅し、残ったのは誰もいないアパートの空き部屋だけだった。
登場人物
主人公
現在の自分であり、貧乏学生。
その貧乏さは、所持金がたったの80円(実際は180円)しかないことからも分かる。
しかし突然時価3億円の山林を手にした事におののいてしまう。
自己中心的な未来の自分たちの争いに呆れ果てる。9年2ヶ月後の自分
「現在の自分」に対して、土地を売り、その金を自分に預けるように要求する。
その理由は過去の失敗を取り返したい為だという(実際はただ博打に失敗しただけ)。23年後の自分
爆発的なインフレーションが発生したため、自分の時代までは土地を売ることを拒否する。33年後の自分
33年後に土地が全て国有化されてしまったため、過去の自分達に対して、山林を宝石に換えて自分に預けるように要求する。幼い頃の自分
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「自分会議」
突然自分会議の場に連れてこられてしまう。
未来の自分たちの醜い争いに絶望し、飛び降り自殺する。
レビュー:おもしろい点、つまらない点
おもしろい、魅力など好評5選
〇 未来を見据えた斬新なテーマ
「SF・異色短編」の最大の魅力は、その時代を超えた斬新なテーマ設定です。
たとえば、「ミノタウルスの皿」では、人間と家畜(牛)の立場が逆転した世界が描かれています。
テーマ自体は今ではありふれたものがあるかもしれませんが、これらの作品は1970年代に描かれていることには驚かされるでしょう。
引用:小学館 「SF・異色短編」 藤子・F・不二雄
〇 短編でも感じる重厚なストーリー
短編集でありながら、それぞれの作品は一本の映画を見たような満足感があります。
藤子・F・不二雄の作品は通常、明るく楽しいイメージがありますが、この短編集では真逆の重厚なテーマが展開され、読後には深く考えさせられます。
「じじぬき」では、死後の世界や再生の概念に挑み、人生や存在に対する疑問を投げかけてきます。
〇 社会問題に対する洞察
「定年退食」や「間引き」などの作品は、現代の高齢化社会や人口爆発といった、我々が直面する社会問題を予見しています。
これらの問題は1970年代当時はまだそこまで注目されていなかったかもしれませんが、藤子・F・不二雄はその未来を鋭く描き、警鐘を鳴らしています。
引用:小学館 「SF・異色短編」 藤子・F・不二雄
〇 ダークなユーモア
「SF・異色短編」には、藤子・F・不二雄独特のダークなユーモアが光ります。
たとえば、「カイケツ小池さん」では、スーパーパワーを得た主人公が正義を行使する様子が描かれていますが、その結果は意外とコミカルで皮肉なものです。
この作品を読んでいると、「デスノート」を連想させ、正義や力の使い方について考えさせられます。
〇 大人も楽しめる哲学的なテーマ
この短編集のもう一つの魅力は、ビジネス書や哲学書のような知的刺激を受けられる点です。
「読むと視野が広がる」といった感想がぴったりで、マンガでありながら勉強になる要素が多く含まれています。
読後は、自分の考え方や価値観に一石を投じるような影響力があります。
引用:小学館 「SF・異色短編」 藤子・F・不二雄
つまらない、難点など不評3選
× 後味が悪い作品が多い
この短編集には、読後にスッキリとした気分になる作品はほとんどありません。
むしろ、後味が悪い作品が多いです。
妻が不倫しているシーンで終わる作品や人が忽然と消えて終わる作品など軽い気持ちで読むと、ショックを受けることもあります。
引用:小学館 「SF・異色短編」 藤子・F・不二雄
× 古さを感じる部分
1970年代に描かれた作品なので、時代背景や技術描写に古さを感じることもあります。
特に、最新のSF作品に親しんでいる人にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、普遍的なテーマや魅力的な画風により、その古さは感じにくいです。
× 子供には難解すぎる
藤子・F・不二雄の他の作品に比べ、この短編集は子供には難解です。
親しみやすい絵柄とはギャップがあり、哲学的な問いや社会問題に対する風刺が多く含まれているため、子供には少し理解しづらい部分があるでしょう。
引用:小学館 「SF・異色短編」 藤子・F・不二雄
個人的な総評
個人的おすすめ度★★★★★
子供時代に「ドラえもん」を楽しんでいた私にとって、この「SF・異色短編」は非常に新鮮な体験でした。
子供向け作品とは全く異なる大人向けの深いテーマが展開されていて、かなり読み応えがありました。
特に印象に残ったのは「自分会議」という作品です。
過去に戻って未来を変えようとするも、未来に絶望した幼い自分が自殺するという衝撃的な結末。
これを1970年代に描いた藤子・F・不二雄の才能には脱帽です。
同様なテーマを扱った映画、2004年公開の「バタフライエフェクト」を思い出しました。
過去に戻って未来を変えようとするが、過去を少し変えたことで未来が大きく変わり、さらに悪い未来になってしまう。
いつどうやり直しても悪くなる一方なので、産まれる直前まで戻って、へその緒を首に絡めて、、、という衝撃的な結末。
「あのとき、ああしておけば」と思うこともあるが、今が一番いいのかもしれない。
上を見たらキリがないので、もしやり直せたら人生前に進めないかもしれない。
数ページの短編で1話1話深く深く考えさせられます。
マンガですが、哲学書を読んでいるようで、多くのカロリーを消費します。
気軽に読むというより、「学びを深めたい方」へおすすめです。
まとめ:おすすめする人
「SF・異色短編」は、短編ながらも深いメッセージが詰まった作品集。
藤子・F・不二雄の新しい一面を感じられるだけでなく、社会問題や未来について考えさせられます。
知的な時間を過ごしたい方はぜひチェックしてみてください!
- 大人向けの深いテーマを好む人
- SFやタイムトラベルに興味がある人
- 藤子・F・不二雄のファン
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