高橋ツトムの「士道」レビュー:幕末と武士道が交差する壮大な物語

食べ物に好き嫌いがあるのと同じように、どんなに面白いマンガでも、人によって好き嫌いがあります。

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マンガ趣味歴25年以上、購読数5000冊以上の私があなたに合うマンガをご紹介します。

 

幕末の物語ってワクワクしませんか?
「士道」は、高橋ツトムが描く壮大な幕末ストーリーです。
歴史に基づいたリアルな展開と、カルト宗教が絡むフィクション要素が見事に組み合わさり、壮大な物語が広がります。
高橋ツトムの絵の技術も素晴らしく、絵の美しさや迫力あるバトルシーンが魅力的です。
武士道精神や会津武士に共感する方にはもちろんのこと、歴史に興味がない人でも、すぐに引き込まれること間違いなし!


こんな人におすすめ

幕末の歴史好きな人
坂本龍馬や勝海舟、高杉晋作などの有名人物が登場し、史実とフィクションをミックスした内容が魅力的です。歴史の勉強としても楽しむことができ、史実を交えた展開に引き込まれるでしょう。

武士道精神に共感する人
主人公は武士道精神を重んじるキャラクターであり、新選組や会津武士に惹かれる層にはピッタリの作品です。

高橋ツトムファン
高橋ツトムの卓越した絵の技術や緻密な背景描写は、バトルシーンや感情表現に大きな迫力を与えており、彼のファンには楽しめる作品です。

極力ネタバレなしで内容をレビューします。
あなたに合うマンガかどうか確認してみてください。

目次

基本情報:作者、全巻数、あらすじ

基本情報

ジャンル歴史、バトル
原作・作画高橋ツトム
掲載誌週刊ヤングジャンプ
発表期間2005年 – 2010年
巻数全25巻

あらすじ

ニッポンが“幕末”と呼ばれる少し前、動乱の世に放たれた二人の兄弟がいた。
兄は雪村翔太郎:14歳、弟は雪村源太郎:10歳――

たった二人で生きる決意を誓った幼き“侍”に、容赦なく降りかかる時代の混沌、修羅の世界。

引用:集英社 「士道」 高橋ツトム

レビュー:おもしろい点、つまらない点

おもしろい、魅力など好評3選

〇 史実とフィクションの絶妙な融合

幕末の話っておもしろくないですか?
「士道」は、幕末の歴史を背景にした作品です。

坂本龍馬や勝海舟、高杉晋作といった実在の歴史上の人物が登場し、「幕府軍」対「新政府軍」の激動の時代が描かれます。
それに加えて「士道」では、史実をベースにフィクションが融合し、宗教軍という架空の第三勢力が登場することで、新しい視点が生まれます。

このフィクションと史実のバランスは、歴史好きにはたまらない魅力です。
さらに、歴史の勉強にもなる一方で、予測できない展開が物語を盛り上げ、次に何が起こるか読者をワクワクさせます。

引用:集英社 「士道」 高橋ツトム

幕末の武士道精神を描く

「士道」では、主人公が孤児から武士に成り上がろうとする物語が描かれています。
この主人公が掲げる「士道」という武士道精神は、忠義や名誉を重んじる点で会津武士や新選組に通じるものがあり、彼らの生き様を追体験できるのも魅力です。

現代の読者にとっては古臭い考え方に映るかもしれませんが、その武士道精神を貫く姿が時に美しく、時に切なく描かれています。
会津武士や新選組が好きな人なら、必ずこの作品に共感し、夢中になるはずです。

〇 高橋ツトムの卓越した絵の技術

「スカイハイ」は知っていますか?
「士道」も同じ作者、高橋ツトムの作品になります。

高橋ツトム作品の魅力の一つは絵の上手さにあります。
まずバトルシーンの迫力やキャラクターの喜怒哀楽の表現力は見事です。絶望感や焦燥感がキャラクターの表情にしっかりと現れ、感情的に引き込む力があります。
特に、絶望した時のキャラクターの表情描写は他の作品では見られない独特の迫力があり、是非見て欲しいです。

また磐梯山や京都の街並みなど、風景の描写が非常に美しく、細部まで描き込まれています。
この細やかな背景描写が、作品全体にリアリティを与え、その時代に引き込まれます。
時折挿入される見開きページでは、思わず目を奪われるほどの壮麗さがあり、文字のないコマに見入ってしまうことがあります。

引用:集英社 「士道」 高橋ツトム

つまらない、難点など不評3選

× 主人公の弟の成長の遅さ

作品内での主人公の弟の行動には、フラストレーションを感じる可能性があります。

感情的かつ短絡的な行動で、毎回仲間を危険にさらし、物語の進行を妨げる存在として描かれているためです。
コメディ要素はほぼなく、シリアスな作品であるため、一層弟の未熟さが際立ちます。
その未熟さは物語の一部として必要ではあるものの、彼の精神的な成長があまりにも遅いため、不満要素となるかもしれません。

物語で一番伸びしろが大きいのも、この弟です。
弟の稚拙な行動を受け入れて読み進めれば、ゆくゆく大きな感動を与えてくれます

引用:集英社 「士道」 高橋ツトム

× 史実ベースの強さが展開を予測しやすくしている

「士道」は、後半に進むにつれて史実に基づいた展開が増えていきます。

これは歴史ファンには嬉しい要素かもしれませんが、展開を予測しやすくなってしまうというデメリットもあります。
特にフィクション要素を期待していた人にとっては、新しい展開が少なくなり、物語の緊張感が薄れてしまう瞬間があるでしょう。
史実を絡めた幕末ものは難しいもので、意外性を求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。

しかし、幕末の激動の中、主人公の兄弟が何を信じ、何を選択し、どう生きたか、は分からないでしょう。
史実がベースであるからこそ実在したように感じ、感動が深まります。

× 登場人物の顔の描き分けに難あり

史実に基づくキャラクターたちの中には、過度に美化されて描かれている人物がいます。
特に高杉晋作の描写は格好良すぎます。

幕末あたりから実際の写真が残っているので、実際の歴史上の人物とかけ離れた容姿やキャラクター造形は、読んでいて違和感を感じるかもしれません。
さらにキャラクターが多く登場するので、実際の人物と容姿が異なるとキャラクターの識別が難しくなります。

最初は戸惑うかもしれませんが、物語を読み進めるうちに自然と見慣れてきて識別もできるようになるので、その点は安心して読み進めてください。

引用:集英社 「士道」 高橋ツトム

個人的な総評

個人的おすすめ度★★★★☆

幕末好きで、大河ドラマの幕末作品は全て見ています。「新選組」「八重の桜」「龍馬伝」など。
そのため、もれなく「士道」もハマりました。
歴史を知っていても、幕末の激動の時代をどう生きたかは、立場によって異なるので、似た作品でも全く違った魅力がありますね。

「ならぬものはならぬ」
特に主人公は会津武士がベースになっていると感じました。
会津武士、白虎隊が好きな人は、必ずハマるはずなので、是非読んでください。

逆に歴史をあまり知らない方でも楽しめる、おすすめできる作品です。
というより、歴史を知らない人の方が、先が読めない展開になるので、楽しめるかと思います。
できれば私も歴史の記憶をなくして読みたかったくらいです。

歴史を知らなくても、最初の入り口はフィクションの要素が強いので、カルト宗教的な要素がぐっと引き込まれます。物語が進むにつれて徐々に史実ベースが織り込まれ、気づいたら歴史に関する知識も自然と得られます。
主人公が武士として成長していく過程や、武士道という精神を貫く姿には共感する部分が多く、自己の信念を曲げずに生きる難しさと美しさを感じるでしょう。
物語を読み切った後には、歴史に興味が湧くこと間違いなしです。

1点だけ、史実ベースでコメディー要素がほぼないので、対象年齢が高めで、万人が気楽に読めるマンガではないというところは、読む人、タイミングを選びます。
その点で一つ★を下げて、おすすめ度★4にしましたが、歴史好きにも、歴史を知らない人にもおすすめできる作品です。

まとめ:おすすめする人

幕末の歴史とフィクションが見事に交差する「士道」。
会津武士、新選組のファンには特におすすめです。
高橋ツトムの緻密な描写と、物語の奥深さに引き込まれること間違いなし!
歴史に興味がなくても、すぐにその世界に没入できるこの作品、ぜひ一度手に取ってみてください。

購読をおすすめする人
  • 幕末の歴史好きな人
  • 武士道精神に共感する人
  • 高橋ツトムファン
購読をおすすめしない人
  • 短い、簡単な物語を好む人
  • フィクション要素を好む人
  • コメディ要素を期待する人

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